一発逆転のインプラント治療

ケアマネジャーが制度化されていない時代の在宅サービスでは、利用者の生活全体を評価してニーズを把握し、総合的なケアプランをたてる役割を遂行する人材がなかったため、たとえば深刻な健康問題があるのにホームヘルパーしか派遣されていなかったり、逆に食生活の問題があるのに健康面だけをみる訪問看護婦だけが派遣されているという例も少なくありませんでした。 これには在宅サービスが措置制度のもとで行われ、実際にはサービスは利用者が必要と思われるものを申請し、その申請されたサービスのみを提供するという仕組みも影響していました。
サービスの提供場面においても、ケアマネジャーというまとめ役がいないため、各職種がそれぞれに自分の役割と思うものを提供し、職種の間にはチームワークや連携がなかったことも少なくありません。 ときには、本来その職種の担当する問題ではないことに直面し、無駄な時間がとられたり悩んだりということも多くみられました。

ケアマネジャーの役割は、さまざまな援助を必要としている利用者について、多くの専門職、ボランティアなどの住民組織をまとめあげ、それぞれのサービスの効果をたしかめながらトータルな生活支援を行っていくことにあります。 この役割は家を建てるときの建築士に似ています。
建築士の役割は大きく分けると「設計」と「工程管理」になります。 設計は土地の面積をもとに、建主の予算や要望とその家族構成や年齢構成、職業や社会的地位などをもとに行われます。
これはケアプランに相当します。 設計を終えたあとは、大工さんをはじめとする多数の専門職に工事を発注します(サービスの依頼)。
そして工事が始まりますが、個々の職種の仕事をチェックし、全体の工程を管理することで、意図したとおりの家が無駄なく効率よく建てられていくかの管理が必要です。 工事のやり方を変えること(サービスの変更や修正)も必要でしょう。
これをケアマネジメントでは「モニタリング」と呼びます。 もし家を建てるときに建築士あるいはそれに代わる役割を果たす人がいなければ、住みやすいよい家を建てることはできません。
建主の希望だけでは、本来必要な家の機能が欠けてしまったり、使いにくいものになるでしょう。 また、建築の専門職が勝手に自分の作業を進めたら効率よく順調に完成をみることもないでしょう。
つまりケアマネジャーは、サービス全体を計画し運用を管理する司令塔としての役割を持つといえましょう。 サービス(ケア)の司令塔として役割を発揮する際に忘れてはならないことは、そのサービスはつねに利用者の生活をよりよくするために行われるべきものだとの考えを持ち続けることです。
このことはケアマネジャーが、ややもすればサービス提供側の一員に位置しがちなことへの戒めとなります。 ケアマネジメントという言葉は、単にケアやサービスの調整を図ることではなく、"利用者のためにケアをマネジメントする"という目的をはっきりと自覚する必要があります。
このような考え方と立場から、利用者の人権擁護も自然に生まれてくることになります。 軽い痴呆のある独居の高齢者で、アパートなどの共同住宅に住む例では、ほかの入居者から失火のおそれがあると退居が求められることがあります。

ケアマネジャーは、一方で見守りのサービスの充実をはかって安全を確保しながら、居住権を脅かしかねない近隣住民に対して安全面の改善を説明しながら説得をはかっていかねばなりません。 そのような働きかけの中から、近隣住民を見守りネットワークの一員として組織化することで、利用者も近隣の人びともともに安心してくらせるようになります。
このような意味からいえば、ケアマネジャーは、サービスやケアという具体的な援助ばかりではなく、利用者本人、家族、地域の人びとをも含めて、それぞれがよりよく生活できるようにさまざまな働きかけを行っていくトータルな生活支援者であり、その中心としての役割を担っているといえましょう。 こうした役割を生み出していくのは、つねに利用者の視点と立場から生まれることを強調しておきたいと思います。
サービスの申請者について、その生活上のニーズが何かを把握して必要なサービスを計画していく作業を「サービス計画の作成」または「ケアプランの作成」といいます。 ケアプランの作成は、利用者の生活上の情報収集からはじまります。
どのような情報を集めて最終的なケアプランをつくり上げるかは、現在いくつかの方式があり、ケアマネジャーはそれぞれ選択した方式に従って行っているのが現状です。 どの方式を用いるにせよ、情報収集からニーズの把握までを「アセスメント(評価)」と呼び、別な表現では「課題分析」と呼びます。
たとえば、利用者について健康上の情報を調べたら糖尿病があったとします。 この場合には丁糖尿病を安定した状態に管理(維持)する」というのがニーズとなり、また課題となることがわかります。
ところで糖尿病を安定した状態に管理するためには、定期的に医療機関を受診していること、医師から処方された薬を正しく服用していること、指示された食事療法がきちんと行われていることや、摂取カロリーを消費するための運動などの生活指導が守られていること、などが必要です。 つまり、"糖尿病がある"という情報に加え、「受診」「服薬」「生活指導」についてそれぞれ情報を集めていく必要があります。
いまその利用者において、糖尿病を安定した状態に管理する、というニーズ(課題)に対して、受診、服薬、生活指導の状況を知ることができれば具体的なサービス計画をたてることができます。 受診(通院)が定期的に行われていないとなれば「通院援助」が必要で、これをホームヘルパーや、ボランティアの協力で行うことになればケアプランができ上がることになります。
つまりニーズには、糖尿病を管理するという課題もしくは目標に関するものと、それを達成するために具体的に何を援助すべきかというニーズの2種類があるわけです。 独居の方では単調な食生活となっている方が実際に多く、しかも食事の量も少ない場合が多いものです。
こういう方にニーズを見出すときに、まずは1日の食事内容を知るという情報を集めたうえで、その食事が十分なエネルギー(カロリー)と栄養のバランスのとれたものかどうかを判定する必要があります。 そのためには、その人の年齢・体格・日頃の活動状況をもとに必要とされる「1日のエネルギー」を知っておく必要があります。

これをもとに、その人が実際に摂っている食事のエネルギー量が分析されねばならず、そのためにはお茶碗1杯のゴバンが160Kcalであることや副食のエネルギーや含まれている栄養素の分析に必要な基礎知識が求められます。 こうした作業を「食事分析」と呼び、ケアマネジャー自身が分析能力を持たない場合には栄養士の力を借りることになります。
先の糖尿病の例では、医師の診断と病状の評価を借りたことになり、このほかにも家屋改造や福祉機器の選択を理学療法士や作業療法士、あるいはこの方面のアドヴァイザ-などの力を借りる必要があります。 このようにアセスメントには基礎知識が求められ、それぞれの専門家の参加を得て正しいアセスメントが行われることが多いものです。


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